再結晶の計算を解く時は行列式

saikessho1.jpg
特に,再結晶等での析出量を求める時は, a, c > 0 として,
saikessho2.jpg
無理して覚え無くても最初は文字でやって後で数値を代入した方が良いかも知れません.行列式だと共通因数を容易に括る事も出来ます.

加比の理も使えると良いです.加比の理が使える形に持ち込む為に,
saikessho3.jpg
にも着目出来ると良いですね.

単糖類の鎖状構造の破線-楔形表記への直し方 2 通り

単糖類の鎖状構造を破線-楔形表記で書き直させる問題は過去に名古屋大学で出題された事が有ります.
グルコースでは無くガラクトースを例にその方法を説明して見ようと思います.

まず草 (W) を描き右端に -CHO をつなぎます.
hasenkusabi1.jpg
hasenkusabi2.jpg

ここから先は 2 通り有るのですが,方法1:
Fischer (フィッシャー) 投影式を描きます.
hasenkusabi3.jpg
ジグザグに赤線で示した部分を手前にして描けば完成です.
hasenkusabi4_2.jpg

方法2:
より本質に根差した方法です.イス形配座を描きます.
hasenkusabi5_2.jpg
equatrial 位 (エクアトリアル位,エカトリアル位) に出た基を手前にして描けば完成です.

※ 1 つ注意点が有ってイス形でも flip-flop を起こした物は違ってしまいます.
hasenkusabi6.jpg

草 (W) 形では無く M 字形の場合は始めから考え直しても良いですし,
hasenkusabi7_2.jpg
回転させてやる事を考えて Newman (ニューマン) 投影式等も利用して考えると,
hasenkusabi8.jpg

  hasenkusabi9_2.jpg
楔-破線の手前-奥が逆転した構造と成る事が分かると思います.

丸善の HGS 分子模型等で組み立てると良く分かるかと思います.棒を抜く時は引っ張るのでは無く回しながら抜く事に注意して下さい.そうし無いと棒がポキリと折れて棒も分子も 1 つずつ使い物に成ら無く成ってしまいます.

Fischer投影式の極意

左の立体配置を右の様に表しこれを Fischer投影式 (フィッシャー投影式) と言います.
fischer1.jpg

普通は -CHO or -CO₂H を上に書いて遠い場所に有る -OH や -NH₂ が右に有る物を D体,左に有る物を L体とします.
fischer2.jpg
天然の糖は D体の物が多く,天然のアミノ酸は L体の物が多いです.

Fischer投影式からは立体配置も判別出来ます.分子量が最も軽い物 (H原子の場合が多いが必ずしもそうでは無い時も有る) を上に書いて判別します.
fischer3.jpg
天然のアミノ酸は R配置の物が多いが,システインは S配置です.

置換基を,
奇数回交換した物は立体配置が変わる.
偶数回交換した物は立体配置が同じ.

m ∊ ℤ として,
90° + mπ 回転した物は立体配置が異なる.
mπ 回転した物は立体配置が同じ.
((注) m は整数なので負の場合も有る)

Fischer投影式のもう1つの特徴として,中心原子を正4面体の中心とする正4面体と見做す事も出来ます.
fsicher4.jpg

この為,上から時計回りに東西南北は Fischer投影式上では正しいです.
fischer5.jpg

2018年現在私見, 化学のお薦め参考書問題集

東大志望の場合,
 重要問題集 -> 教学社の27ヵ年 or 駿台文庫の25ヵ年
が最短だと思います.

・理系大学受験 化学の新演習―化学基礎収録
東大模試で類題が出された場合は効果抜群です.

・新理系の化学問題100選
解法にも影響を受けた部分は有るのでこれも挙げて置きます.

・京大化学25ヵ年
これは良質な問題が勢ぞろいしております.東大程計算が大変では無いですし.
重問と過去問が基本ですが,それに何かを追加するとすればこれでしょう.
東大の過去問が難しかったら京大の 25ヵ年をやって見ると言うのも 1つの手です.

化学は見慣れ無い設定の問題が幾等でも出題される様な印象も有るかと思いますが,知識量としては,重問,新演習,東大と京大の 25ヵ年,この 4冊と後は模試問で得られる物で充分とするのが現実的な所だと思います.(重問と過去問が最短だと書いたので,実際もっと少ない知識量でも高得点を取れる人は取れるだろうと思います)

参考書としては,化学の新研究―理系大学受験です.最近類似の本が色々と出ていますが,網羅性は新研究が 1番です.重要な所だけをピックアップして伝える事やカラーで有る事にも需要は有る事は理解していますが,化学は問題を通して学ぶと言う姿勢が大事なので新研究も通読する必要は無く,その時間を問題演習に使った方が良いと思います.

絶版ですが,
・即効 化学計算問題でるとこだけ! (合格文庫 47) 西村能一(著)
これは気体・溶液の図の描き方がレクチャーされているのが良いです (現行の本で同じ事が書いて有る物は無かった) .
・大宮理の化学が面白いほどわかる本 (理論・無機・有機)
私はド基礎はこれで学びました.男女の恋愛への例え等は私は秀逸だと感じましたし,情報量もコバルト,ニッケル,白金,エチレングリコールの製法や新研究にすら載ってい無いコバルトの錯イオンのカタカナ表記も有ったので,情報量としては Do 3部作よりも多かった.語呂合わせの量も Do より若干多かった.今は改訂されて著者が変わってしまい,赤文字が目に眩しいだけの参考書に成ってしまいました.

2018年現在の化学の基礎を学べる参考書は,照井式, Do, 宇宙一わかりやすい, 面白いほど等色々有りますが,私の目にはどれも大差無い様に感じました.いきなり重問に取り組めるので有ればそれが 1番ベストです.

・大宮理の化学化学I・II明快解法講座―合格点への最短距離 (大学受験Do Series)
1冊で全分野をそこそこのレベルまで良解法を明示している問題集ですが,これも絶版.

トリペプチドの構造決定

α-アミノ酸の側鎖以外の共通部分は,C2H4NO2
ジペプチドの側鎖以外の共通部分は,C4H6N2O3
トリペプチドの側鎖以外の共通部分は,C6H8N3O4

ex) 分子式 C16H21N3O6 は天然に含まれる α-アミノ酸のみで構成されたトリペプチドである.
C16H21N3O7 - C6H8N3O4 = C10H13O3.
C10H13 = C7H7 + C3H6.
より 1つは芳香族アミノ酸が含まれていそう.
O3 は,-OH と -COOH に振り分ければ良さそう.
アスパラギン酸なら,残る 1つは C 1個,グルタミン酸なら,残る 1つはグリシンに確定.
-OH はチロシンかセリンの可能性.
以上に鑑みると,
FDS, YDA, YEG.
構造異性体は,12 x 3 = 36種類.

何と分子式の情報だけでこれだけ絞れてしまうのです.芳香族エステル同様,加水分解するけれど分子式で H2O を足さないこの方法が如何に速く解ける事か.

フェニルアラニンかチロシンかの区別ですが,O の数に注目します.他の C, H, N の数はバッサリ無視です.

無水物の結晶の析出の別解

無水物の結晶の析出量 [g] を求める時には別解が有ります.


[1] 1定温度で飽和溶液から水を w [g] だけ蒸発させた時の結晶の析出量 x [g] を求める.
tobasu.jpg


[2] 飽和溶液を冷やした時の結晶の析出量 x [g] を求める.
hiyasu.jpg
※ 溶液 100 g じゃなくても O.K. です.
※ Sh は高温での (冷やす前の) 溶解度で有る事に注意.


「水を蒸発させてから冷やす」のと「冷やしてから水を蒸発させる」のとでは析出量が変わって来ます.ですから順序交換は出来ません,無水物で有ろうと水和物で有ろうと.何だか市販の問題集の解答で順序交換して答えが間違っちゃってくれている物も有りますw
どうやら無水物の場合は順序交換可能な様です.適当な問題で試して答えが合わなかったから早合点してしまった模様.途中のケタ数の取り方が問題だった訳で分数のまま計算したら合いました.市販の問題集の間違いは温度によって水和物か無水物かが変わる物質で結晶型が変わる時に順序交換をするのは明らかに間違っています.そして他の簡単な無水物で試して答えが合わなかったので無水物も水和物もダメと言う記述をしてしまいました.
最終状態が同じで有れば合計の析出量は変わら無いと言う意味です.順序が異なれば個々の操作による析出量は変わって来ます.

全析出量を考えるので有れば順に考えて行けば良いのですが,全析出量が分かっていて途中の過程での析出量を求めよと言う問題も有ります.実際に自分が実験をする時には慎重に析出した量を順に求めて行くしか無いと思うのですが・・・.言わばパズル的な問題で学問的な価値が低く入試問題の作問者と言うのはつくづく意地悪だなあと思います.

速度論・平衡での重要知識

1次反応では半減期と言わず最初の濃度の 1/n になる時間を覚えて置きましょう.
t1_n_1.jpg


2次反応は新演習に載っていた慶應の問題を答え毎,丸暗記すべきです.医歯薬系に進む人は pharmacokinetics (薬物動態学) で結局覚えさせられる事になるので今の内に覚えて置いて損は無いでしょう.それと 1つ次も公式化して置きます.
t1_n_2.jpg

それと 2次反応では,
 (100 % から 80 % に成る時間) x4 = (100 % から 50 % に成る時間)
 (100 % から 50 % に成る時間) x4 = (100 % から 20 % に成る時間)
が成立します.簡単な数値な所が美しいせいか良く出て来ます.


アレニウスの式ですが,入試化学として出題される物は,
arrhenius.jpg
この式を利用する物が多いのでこれを記憶するか暗算でやる事で素速く処理します.


Kc <-> Kp の変換公式は間違え易いので覚えるとしたら次の形で覚えます.
KcKp.jpg
L = Left で左辺, R = Right で右辺です.
添え字と指数を CL = PR としたのは訳が有ります.
 "クリアランスセールだから PR する"
これで間違える事は無いでしょう.
とは言っても公式を使うのが楽か定義通りに計算した方が楽かはいつも自問自答しなければ成りません.
p_cRT.jpg
を代入する事でいつでも公式自体は導出可能ですが,重要なポイントとして,特に 2つ目の式: c = p/(RT) の右辺を見ただけで次元が濃度だと判断出来る事,そして容器の体積が分からなくても自分でこの濃度表記の式を使って平衡定数を求める事が可能で有りそれが自力で出来る事ですね.


N2O4 の解離平衡で解離度を求める有名公式ですが,
N2O4_1.jpg
特に,
N2O4_2.jpg
違う解離平衡,例えばエタンの解離平衡ではこの公式は使え無い事に注意して下さい.


オストワルト法の最初の反応で,気体の混合比が 1 : 3 でアンモニアが 50 % 生成と言うのも良く見掛ける設定ですね.


電離平衡の解法は覚えたら即点に成るみたいな物が多いと言うか解法が公式の様な物です.電離平衡はともかく気体の平衡もパターン性が強くどちらかと言うと蒸気圧やヘンリーの方がややこしい.蒸気圧は理想気体と実在気体に分けて理想気体には常に状態方程式,実在気体でも気体部分には状態方程式が成り立つ事と液体部分は間接的にしか求まらない事.ヘンリーはどの状態で測ったのかと言う事と,要は圧力補正と (溶液の) 体積補正をするだけなのと,その温度の下では溶ける体積1定と言うのがポイント.ヘンリーは新演習でもたった数問しか無いのでさっさとマスターしてしまいましょう.

化学の新演習の別解 [理論編]

今回から『化学の新演習』の中から幾つかの問題をピックアップして別解等を挙げて行こうと思います.別解は勿論本には書かれてい無い事です.まあ周回していたら思い付くかも知れませんが.敢えて下手な解き方をしているのは自分で気付く事で実力を付けさせる,そう言う狙いが有るのかも知れません (程度問題で余りにも不親切な解説の問題集は好ましく無いと個人的には思う).

理論化学全166題中,今回取り上げるのは以下の 8題.
12 <体心立方格子と面心立方格子> (広島工大)
29 <化学反応の量的関係> (北大)
38 <CO2 の状態図と等温線> (東京医歯大)
64 <ヘンリーの法則> (早大)
69 <溶液の蒸気圧降下> (福岡大)
71 <分配平衡> (東京女大)
113 <固体を含む平衡> (東大)
114 <ヨウ素の分配平衡> (東大)

Read more»

『化学の新演習』 のすゝめ

1気圧, 1モル, 27 ℃ (= 300K) での気体の体積には次の 2通りの計算方法が有ります.
V_27C.jpg
所がこの2つの計算結果は微妙に違っています.

この様に化学は計算の仕方によって答えが変わると言う特殊な科目です.化学の学習を進めて行くに当たっては個人的には解法をしっかりマスターする事を重視すべきだと思います.atm 時代の問題を Pa に無理矢理直した問題集も有り,又どうやっても数値が合わない問題が問題集のみ成らず改題の無い入試問題の解答速報にも有りますから.又自分で思い付いた別解が正しいかどうかを確認する為にも日常学習では関数電卓は必須です.試験で間違える計算問題の原因は計算力の無さと言うより解法が中々思い付かず立式自体にも不安を残した物で解法が直ぐ思い付き自信を持って解答出来た物が間違っていたと言うのは少ない物です.

さて,『理系大学受験 化学の新演習―化学基礎収録』 (卜部 吉庸 (著)) と言う問題集が有ります.現状ではベストな問題集だと言わざるを得ません.網羅性や全てをマスター出来た後の達成感は半端無い.その莫大な知識量はきっと役に立ってくれる事でしょう.最初の方を少しやるだけでもダイヤモンド型結晶格子の限界半径比 (<- 注: 体心・面心では無い) 等も即答です.

Read more»

芳香族エステルの構造決定の練習

先回の芳香族エステルの構造決定法の練習問題.



ア. C8H8O2
C8H8O2 - C7H6O2 = CH2.
エステル or カルボン酸だとすると,-COO- の挿入を考えて下図.

C8H8O2.jpg



イ. C14H12O2
C14H12O2 - C13H10O2 = CH2.
エステルで水解後も両生成物にベンゼン環が有る物だとすると,-CH2- の挿入を考えて下図.
C14H12O2.jpg
※ ベンゼン環の中央から出た -H は o-, m-, p- を表す.



C の数,H の数から芳香族エステルだと予想出来るなら不飽和度も数えずに C, H の数から考えて C7H6O2, C13H10O2, C20H14O4 から近い物を引きます.

やはり加水分解で一々分子式を考えて H2O を足したりする解法に比べると遥かにスムーズに解ける事が分かるでしょう.

芳香族エステルの超速構造決定法

まず予備知識として,
C6H6 はベンゼン.そこから -CH2-単位を足して行った,
C7H8 (トルエン)
C8H10 (エチルベンゼンか (o-,m-,p-)キシレン)
C9H12
(クメン,プロピルベンゼン,(o-,m-,p-)エチルメチルベンゼン,トリメチルベンゼン(隣接・非対称・対称))
(C10H14)
(C11H16)
(C12H18)
・・・
は見ただけでベンゼン環以外は単結合で有ると判断出来る様にして下さい.特に C9 までは頻出です.

[1] (ベンゼン環)x1 の物 (US = 5 の物)
C7H6O2 は安息香酸かギ酸フェニル.それを構造決定問題で考えている大元の分子の分子式から引く.残った分子式は少数の O原子, -CH2-単位なのでそれらを挿入して行くと考える.

[2] (ベンゼン環)x2 の物 (US = 9 の物)
(C6H5-)x2 + COO = C13H10O2 .それを構造決定問題で考えている大元の分子の分子式から引く.残った分子式は少数の O原子, -CH2-単位なのでそれらを挿入して行くと考える.

[3] (ベンゼン環)x3 の物 (US = 14 の物)
(C6H5-) + COO + (-C6H4-) + COO + (-C6H5) = C20H14O4 .それを構造決定問題で考えている大元の分子の分子式から引く.残った分子式は少数の O原子, -CH2-単位なのでそれらを挿入して行くと考える.

どの場合も -CH2-単位が幾つ有るか数えるので大元の分子のベンゼン環,エステル結合部分以外が不飽和か飽和かも判断出来る.不飽和度USの計算は不要と成ります.加水分解時や挿入する時は H原子の数は無視し,C原子の数に注目するのが速く処理するコツです.

ですから例えば,CaHbOc + H2O -> CkHlOm + D と加水分解した時に D の分子式は,CaHbOc + H2O - CkHlOm = ・・・ としているのがよく見掛ける解説ですが,そんな事をする必要は有りません.時間が掛かる上に間違える原因です.

水解後は,C8H8O (アセトフェノン) とそれを還元した2級アルコール C8H10O (いずれもヨードホルム反応陽性),C8H6O4 (フタル酸,M=166) とそれを脱水した C8H4O3 (無水フタル酸,M=148) ,あと環状ラクトンが決め手となる場合が多い.

芳香族アミドの場合も少し修正すればこの考え方が使えます.
ベンゼン環1個の物は,C7H7NO を引く.(US=5)
ベンゼン環2個の物は,C13H11NO を引く.(US=9)

[追記] 練習問題を作りました.

ボイル-シャルル則を 1行で書く方法 (案)

以下,説明の為に 2行で書いていますが,実際に書く時は 1行です.

[1] 未知数が圧力の場合:
PVT_P.jpg

[2] 未知数が体積の場合:
PVT_V.jpg

[3] 未知数が温度の場合:
PVT_T.jpg

本当は意味を考えて温度補正・体積補正・圧力補正して行った方が良い?

物理の方に成って恐縮なのですが,
 P/(ρT) = (一定)
と言う式も有ります.これは ρ が未知数の場合が多く,意味を掴んで補正するのが容易です.

もう間違えない,トレハロースの構造式

2糖類の構造式を書く時にグルコースをひっくり返さなければならない場合が有ります.以前の私はこれを暗記で乗り切ろうとしていました.しかし,きちんとした考え方が有ります.もう暗記に頼る必要も無く間違える事も有りません.

グルコースの環状構造なら少し糖分野を勉強した事が有る方なら覚えておられることでしょう.このグルコースの環状構造に対し,適切な回転軸を設定し,回転する事により答案に書かなければならない構造式を見い出すのです.


i) セロビオースの場合,

cellobiose1.jpg

左側にβ-グルコースをくっつける事により完成.


ii) トレハロースの場合,

trehalose1.jpg

左側にα-グルコースをくっつける事により完成.

2015年度東大化学の出題ミス

2015年度の東京大学の前期の入試問題の化学には出題ミスが有ります.しかも 4問も.

以下の 2つの画像は切れてしまっているので右端まで見たい方はクリックして見て下さい.

原題
2015todaiChemMissGendai.png

【出題ミスの根拠】
2015todaiChemMistake.jpg


作問者がいかに化学を良く分かっていないかが良く分かりますし.ロクな研究をしていなさそうです.
過去の入試問題についても正直東大の入試化学は難し過ぎたり分量が多過ぎたり下駄が有る等滅茶苦茶な部分が有る.

化学に限らず,大学入試問題は作成者の氏名が公表されないし,採点答案も返却はされない.こういった出題ミスや過去記事でも指摘した東大物理や名古屋大の国語といった盗作等の大問題が有っても誰も責任を取らずに終わって行きます.

大変嘆かわしい.

二見太郎氏の著書の間違い

二見太郎著の『一目でわかる化学ハンドブック―大学受験 (東進ブックス)』ですが,間違いが有ります.

GFJ (グレープフルーツジュース) は「肝臓での代謝酵素を抑制する」のでは無く「小腸上皮での代謝酵素を抑制する」が正しいです.

この様な自身の専門分野の基本的な内容でさえも間違えてしまっているので医師としての腕前には疑問符が付きますし単なる受験の秀才で終わってしまった残念な人なのだなあと思います.

1般に大学1年の内や仮面浪人をしていたり第1志望では無い大学に不本意に入学した等ならまだ分かりますが上回生に上がってからでさえもいつまでも入試では首席だったとか模試の成績がどうのこうのとか自分から言うべきでは無いでしょう.どこの大学ででもです.いや,大学1年の内からもみっともないと感じる方の方が世間では常識的に大勢を占めていますね.失礼しました.それと受験生の側としては入試での得点率は合格最低点では無く上を目指すのが普通で目指すべきだとは思いますし得点率が高い者の方が大学での勉強にもすんなりと入っては行けるでしょうがそれを誇りにすべきでは無い.間違っても得点率が高い者の方が偉いだとかそういう考えを持つべきでは無いです.

同著者の『二見の化学問題集―〓〓〓I・II (ハイクラス編) (東進ブックス―ハンドブック準拠問題集シリーズ)』は解説が多過ぎず少な過ぎず適度な量なのとヘンリーの法則で物質量に直さずに体積のまま直接解く等の色々な解法は優れているのと何よりも酸化還元の全反応式を半反応式を書く事無くいきなり直接書き下すのは大変素晴らしいのですがこれが絶版となってしまったのは信じられないですね.実質的な改訂版である橋爪健作著の『化学レベル別問題集 4 難関編 (東進ブックス 大学受験 レベル別問題集シリーズ)』は問題のレベル・解法・解説全てがスケールダウンしており残念な内容となっています.

やはり新課程の理数科目の参考書・問題集は名著が絶版になっているケースが非常に多いです.

駿台化学はゴミ!!

ネット上では割と高評価(?)である駿台化学ですが,私から言わせればゴミです.ここでいう「駿台化学」という言葉の定義としては駿台に関わりある講師が書いた参考書・問題集や駿台が主催している模試の問題や採点の質として置きます.講習の内容は私が塾に行った事が無いので評価出来ませんが,これらの内容から察せられると思います.

決して言い掛かりでは有りません.理由はいくつも有ります.

まずは,駿台の模試の採点です.画像を見て下さい.
026A.jpg
問題文中には 0.xy の形で解答せよという指示は無く有効数字2桁で答えよとだけ有るのにこれで × にされました.有効数字を意識した指数表示だとむしろ私の方が正しい.

又特に東大模試の論述問題でも大学生用の専門書では正しいとされている事を書いて × にされた事が何回も有ります.特にリード文から読み取れる事を高校化学の知識の範囲で答えなさいという指示も無く模範解答や解説を見てもリード文から読み取れる事では無くて完全に知識問題となっている論述問題でです.

そういえば 2013年の第2回東大実戦模試では出題ミスにより全員に 7点を加点するという前代未聞の事件が起こりました.有機分野の配点は 20点で有りその内の 7点です.その意味は推し量られるだろう.

次に駿台が自社の駿台文庫で出している問題集の解説を見て見ましょう.
Cl2_71.jpg
駿台では,塩素原子では無く塩素分子の分子量を 71.0 では無く 35.5 として教えている様です.これにはびっくりしました.

過去記事でも取り上げましたが,新理系の化学問題100選にも目に付くだけで 2つも間違いが有ります.

それから駿台系の講師が書いた ATP の構造式は塩基とリン酸が左右逆に付いています.ある特定の 1人の講師では無く駿台系の講師全員で駿台文庫だけに限らず他の出版社から出ている参考書も著者が駿台系の講師だと全て間違っています.

これで理系の駿台だとか言われているのは全く訳が分かりません.数学にしても sec, csc, cot の表記を用いていない.代ゼミ等では自然対数を ln と表記してもマルが貰えますし,関数電卓を見て貰えれば分かる様に底が 10 の対数を log, 自然対数は ln と表記するのが厳密には正しい.所が駿台主催の模試では ln と表記すると減点されます.

構造異性体の考え方 (C7H8O を例として)

C7H8O の構造異性体を例として考えてみますが,これは次の様に矢印でメチレンや(ベンゼン環に直接付く場合はメチル基)を挿入する事を考えれば次の図だけで充分です.
C7H8O.jpg
図ではベンゼン環に直接付く場合は,ベンゼン環の中心から線を書いていますが,これでオルト,メタ,パラ全てを表します.

試験本番では問題用紙の余白は限られておりいかに書く量をコンパクトにするかという事が重要になって来ます.後は設問文を満たす物をピンポイントで解答用紙に書けば良いのです.

取り敢えず構造異性体を全て書き上げる事が重要になって来る問題も時々有りますが,一々全てを書き上げているとスペースも時間も無くなってしまう問題も多い.少なくとも全てを書き出す前に上の図の様にどの様に官能基を挿入するかをコンパクトな図で示した方が見落としもダブりも減るだろう(これを書いていない問題集の解説も多い).
methylphenyleter.jpgbenzylalcohol.jpg
o-cresol.jpgm-cresol.jpgp-cresol.jpg

※ ベンゼン環を 6角形に丸を書く表記だと「書き方の(例)」に従っていないので減点の可能性が有る.入試では避けた方が良い.大学以降でも反応機構で電子対の矢印が書けなくなるのであまりその表記は使われない.

他に構造決定問題のポイント(特に東大2次)として:
・不飽和度(US) の計算さえしっかりして置けば,最後に構造式を書き上げた時に H原子の数を数えて確かめる必要は無い.US を計算するという事は H原子の数を考慮に入れるという事なので.
・ベンゼン環の US は 4 という事を覚えて置くと何かと便利.US が大きければ,芳香族と疑って良い.
・cis, trans も両方の構造式全体を書くのでは無く,c, t 等と自分が分かる記号を書くだけで良い.
・対称性の高い物や直鎖の物が答えに成り易い.東大の過去問で有りましたが,環状ラクトン等は全て考えるととんでもない数になるが,これはある種の化学的なセンスというか勘の良さを試しているのか? 対称性の高い物が答えに成り易いという事を押さえて置けという事か・・・.
・C4H10O や C5H12O とその脱水アルケンは最頻出だと言われるが,最近の傾向を観てみると微妙.ヨードホルム反応を示す物や不斉炭素原子を持つ物は直ぐ出る様にして置く.直鎖の端から 2番目にヒドロキシ基が付いたアルコールの脱水アルケンが 3種類というのも頻出.
・水素付加で同じ化合物⇒基本骨格が同じ.
・C8H6O4, C8H4O3, C4H4O4, C4H3O2 も直ぐ出て来る様にして置く.というかこれは気付けないとツライ.
・ステアリン酸から 9位,12位,15位の C に cis の 2重結合が出来る事でオレイン酸,リノール酸,リノレン酸が出来る.これは生化学の専門書に書いて有る.ステアリン酸の分子量の覚え方は『大宮面白いほど』に有った.
・ステアリン酸の分子式は C18H36O2 だが,示性式の C17H35COOH の形に慣れて置いた方が何かと便利.オレイン酸,リノール酸,リノレン酸はそこから H の数を -2 ずつして行くと考える.
・アルケンの酸化的開裂でアルコールが出来る場合も有る.
・分子量が分かっていれば,(分子量)×(組成比) で求めた方が良い.
・C:H(:O) 等の比を計算する時の C はwCO2/44 で良い.(wCO2・12/44)/12 は 2度手間になる.
・昔の東大2次の有機は,内容は簡単だが論述でふるいに掛けている感じがする.とにかく傾向が全然違う.東大の有機は簡単だというのは昔の話.もっとも論述に慣れていないと当時のも中々点が取れないだろう.
・抽出操作で水層には試薬だけで無くエーテルも加える.

ペプチドの異性体の数え方

化学の新研究 (化学基礎収録) の p.677-p679 を開いて下さい.

ペプチドの異性体数を数えていますが,記述されている方法では非常に分かり難いし数え落としやダブりもしやすい.順列や円順列等の数学公式を使って行った方が早いし間違えにくいと思います.ここでは公式チックにまとめてみます.

1. 直鎖で Asp, Glu が無い場合:
同じ物を含む順列の公式を適用すれば終わりです.
光学異性体を考慮する場合は,2n倍すれば良い.ペプチドの場合,N末端かC末端かで違うのでメソ体は考えなくて良い.

2. 直鎖で Asp, Glu が有る場合:
p.678 3⃣ に有る様に回文構造以外を全て書き下し,Asp, Glu が末端に有る場合は 3倍,末端以外に有る場合は 6倍すれば良い.

3. 環の場合:
p.679 の場合に当たる.1つしかない物を固定し,順列公式を適用すれば良い.p.679 [4] の例で言えば,G は2つ有るので G を固定して順列公式を適用してはいけない.それ以外を固定すること.

α-アミノ酸の H^+ の取れる順番

α-アミノ酸を酸性条件から pH を上げて行った時に,H+ が取れる順番は,

1) 主鎖の -COOH の H+
2) 側鎖の -COOH の H+
3) 主鎖の -NH3+ の H+
4) 側鎖の -NH3+ の H+


です.

実際にはこの 1)-4) が全て存在する天然のα-アミノ酸は存在しませんし,合成してみた場合,違っているかも知れませんが,およそ試験で問われる可能性の有るアスパラギン酸とグルタミン酸とリシンに関してはこの公式を適用すれば全て解けます.

有機構造決定の隠されたポイント

この記事は,過去記事: C5H10O の異性体 【改】 から普遍的なポイントを抽出して加筆修正した物です(特にアミンについて).

分子式を決定するまでの隠されたポイントとしては,
・組成式を決定する際に分子量が決まっているのであれば,質量百分率を分子量に掛けた方が良いです.
・0.125=1/8, 0.25=1/4, 0.375=3/8, 0.5=1/2, 0.675=5/8, 0.75=3/4, 0.875=7/8 等と見なす.
・キリの悪い数字は,最小の物で割る.
・分子量の偶奇で水素原子数の偶奇・窒素原子数の偶奇が分かります.

有機構造決定の基本的な流れは次の様になります.
1. まず,不飽和度US を計算するが,よく本に載っているような公式では無く,次の様に考えた方が分かり易いし,早いだろう.
Xをハロゲンとして,
 CjHkOlNmXn ⇒ CjHk-m+n ⇒ CxHy (x≡j, y≡k-m+n)
として,
 2x-y<0 であれば,US=0.
 2x-y=0 であれば,US=1.
 2x-y>0 であれば,US=(2x-y)/2+1.
となります.
こうするのが何故良いのかと言えば,US=0,1 は瞬時に判断出来,又,本に載っている公式とは違って分数式の計算をしなくて良いからです(文字式だと難しく見えるが,実際の問題は具体的な数値なので,2x-y は必ず偶数となり分数計算不要なので簡単である).
2. 基本骨格 + 官能基 という部品に分け,官能基を挿入 or 官能基を固定する事により考える.

そして,隠されたポイントが有ります.
・主鎖の炭素数は,n/2 以上だけを考えれば充分である.
対称面(点線で表す)を考えて対称面により区切られた領域とその境界線上に官能基を挿入すれば充分である.
・端から n番目の炭素には最大(n-1)個の炭素しか挿入出来ないが,同一炭素に上下に付く場合を忘れやすい!!!
・アルコールの場合は,級数も書く.
・(元から有る)不斉炭素原子や不斉炭素原子が新たに出来る場合は,「*」 を書く(挿入する部位から離れた C が新たに不斉となる場合に特に注意する).
ヨードホルム反応を示す場合は「」と書く.

エステルの異性体を考える場合も COO を固定して左右に炭化水素基を導入していくやり方と COO を△印として挿入していくやり方が有ります.加水分解後の炭素数が重要だったり,加水分解後の物質が分かっている場合は固定法が有効で,スペースを節約したい時は△印挿入法が有効.

アミンの異性体を考える時も N固定する方法挿入していく方法が有るのですが,挿入する場合は 3級アミンをくれぐれも忘れないように.炭素骨格に漫然と挿入するだけでは 3級アミンは作れない事を銘記して置く必要が有ります.

・ベンゼン2置換体はパラ体,次にオルト体(環化から分かる)が圧倒的に多い.

C5H10O の異性体 【改】

C5H10O の異性体を考えてみます.但し,不安定なエノール型は考えません.
まず,不飽和度US=1 です.

それからよく問題集の解答に有る様に,
kakidashi.jpg
問題冊子の余白は限られているので,官能基を矢印で挿入していく事で表していきます.

そこで,i) C=C, ii) C=O, iii) ring, iii') COC の 3員環大別する事が最初にやるべき大切な事です.

では,書き出してみましょう.

Read more»

くわしい陽イオンのイオン化傾向を覚えよう

過去記事「周期表をすべて覚えよう」に引き続き,陽イオンのイオン化傾向も覚えて置いた方が良いと最近痛感しました.何故ならば,レドックスフロー電池に置いて Cr が出て来るのですが,Cr がイオン化傾向のどこに位置するかを覚えて置けば,反応も予測出来,理解も深まるだろうと考えたからです.

やはり,周期表の覚え方の語呂合わせを参考に組み合わせたり,自作したりしてみましょう.やはり,下ネタが覚えやすいのですが,単語をなるべく短くして実戦で使える形にして置く事も大切です.

但し,(以下,下ネタが有るので苦手な方は見ちゃダメです)

Read more»

マクロな視点; ミクロな視点

みなさんは組成式を有効活用しているでしょうか?

組成式はマクロの視点でもミクロの視点でも使えます.すなわち,1 mol 持って来ようが単位格子 1 個だけを持って来ようが組成は変わりません.単位格子中の原子の数は,ある 1 種類だけを数えれば,残りは真面目に数えなくても組成式を利用して比を取れば良いのです.その方が早く,しかも間違えにくい.

ex.) Fe3O4 = FeO・Fe2O3 であるから,単位格子中の O原子の数が 32 個と分かれば,
 Fe2+: Fe3+: O
=  1 :  2  : (1+3)
=  1 :  2  :  4
=  8 : 16 : 32
より,Fe2+ は 8 個,Fe3+ は 16 個,単位格子中に存在する.

熱化学の問題のその他のポイント

ボルン・ハーバーサイクルですが,試験本番ではエネルギー図を書いている時間は有りません.与えられた熱化学方程式の内,1つは1/2倍 (Cl2 の解離エネルギー) ,1つは符号が反対 (Cl の電子親和力) に気を付けて機械的に足せば良いのです.
NaCl では無く,CsCl 等となっている場合も有るので,ビビらない様に.

中和熱の測定では,Q = mcΔt/(1000n) 的な式を立てる.

熱化学の解法

熱化学の問題を解く時には組み立て法は滅多に使わない方が良いでしょう.
以下の様に解きます.無論,自分なりに更なる工夫を重ねると良いでしょう.

1. 燃焼熱が与えられている時
反応式を書き,次のエネルギー図を参考にして解きます.
nensho.jpg
問題用紙の余白には,次の様に書きさえすれば充分です.
netsuYohaku1.jpg


2. 生成熱が与えられている時
反応式を書き,次のエネルギー図を参考にして解きます.
sese.jpg
問題用紙の余白には,次の様に書きさえすれば充分です.
netsuYohaku2.jpg


3. 解離エネルギーが与えられている時
反応式を書き,次のエネルギー図を参考にして解きます.
kairi.jpg
問題用紙の余白には,次の様に書きさえすれば充分です.
netsuYohaku2.jpg


エネルギー図を使う時に気を付けたいのは次のポイントです.
 (C(黒鉛) の燃焼熱) = (CO2 の生成熱)
 (H2 の燃焼熱) = (H2O の生成熱)


394, 283, 111, 286, 44, 242, 2220 等は学習している内に覚えてしまいますね.
プロフィール

A6033x

Author:A6033x
数検1級取得しました.
個人的な連絡は,hermitvseinsiedler@_@gmail.com
まで(@_@は@に置換すること).
あまり見ないかも知れないのでその場合は twitter の方へ.
twitter:https://twitter.com/A603zw
そもそもネット接続自体減らして行く事になりますが...

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR