関数の極限とマクローリン展開

国公立2次試験では極限単独での出題は少ないですが,極限の計算も意外と難しい物も有り,計算の巧拙が合否結果を左右しかねません.今回は関数の極限に付いて変わった角度からまとめて見ます.

関数の極限と言うと公式に帰着するのが基本ですが,分子分母が逆に成っていたり,複雑な形だと判別が難しい.そう言う時は近似式でまず見て見ると見通しが良く成ります.近似式とは言ってもその正体はマクローリン展開を途中で切った物です.

3角関数に付いて,
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cosx ≒ 1+x2/2 の形での近似式は不慣れかも知れませんが,物理のハイレベルな問題でもちょくちょく出て来ます.
tanx のマクローリン展開は数検1級で頻出です.受験者は必ず覚えて置く事 !

指数関数に付いて,
lim2.jpg
又,
lim3.jpg
特に,
lim4.jpg
1/e の近似式が分母が 2! からスタート (それ以前は相殺される !) が意外なポイントかも知れません.

ln(1+x) のマクローリン展開はド忘れしたら次の様に導きます.
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収束半径は,|公比|<1 で, (公比) = ±1 は各々調べます.(ダランベールの収束判定法と言うらしいです.)

次に挙げる物もほぼ準公式みたいな物だと思います.
lim6.jpg

極限を求める時の裏技としてはロピタルの定理が有名ですが,マクローリン展開も有効です.
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仮にこの問題が答えのみで良いという条件で出題されたならこの様に解きます.分母が 3次な事に注目してマクローリン展開は 3次まで書きます.

最後に意外と頻出な極限.複雑な応用問題の最後の方で出て来た時にド忘れしていた人が意外と多い(?)
lim8.jpg
正攻法では,x-1≡t と置換.ロピタルでも求まりますが,y = lnx 上の点 (1, 0) に置ける接線が y = x-1 で有ると抑えて置きましょう.( x = 1 の近傍で lnx ≒ x-1 とも言える.)

ちなみに,y = ex 上の点から引いた接線で原点を通る物は, y = ex (接点は,(1, e) ), y = lnx 上の点から引いた接線で原点を通る物は, y = (1/e)x (接点は,(e, 1) ) です.

4通りの y軸周りの回転体の求積法, z^n = α

V_y0.jpg

y軸周りの回転体の体積の求め方ですが,私が知り得る限りでは 4通り有ると思います.今回はそれをまとめて見ます.(パラメータや極座標で表された物は除く)

[1] x = g(y) を利用して全て y で表す.
V_y1.jpg
y軸を対称軸に持つ放物線や楕円ではこれが第1選択です.
y = lnx の x軸周りの回転体も x = ey を利用すれば立式は見た目上これに成りますね.

[2] dy = f'(x)dx を利用して全て x で表す.
y = f(x) より,dy = f'(x)dx なので,
V_y2.jpg
トイレットペーパー分割を使いたく無い時に使います.

[3] Shell Method による方法
V_y3.jpg
日本の教育課程ではトイレットペーパー分割と呼ばれている様ですね.
海外では,Disk Method, Washer Method, Shell Method (<-YouTube で検索すれば出て来ます) と並列して教えているのに日本ではこれだけ発展事項として教えている事には甚だ疑問です.発展事項を使ったら減点だと言う人がいますがそれならば物理の解答で微積分を使ったら全て 0 点に成るのでは無いでしょうか? 少なくとも複雑な応用問題の 1部で使う分には減点され無いでしょう.正確な証明法では積分の平均値の定理を使わ無ければ成らない様.心配な人は [2] の方法で解答する事.

[4] 下の図の様な対称な物体で因数分解を利用する.
使える場面は限られますが,計算量がかなり少なく成ります.
V_y4Fig.jpg
さあ,Washer Method による立式からスタートです.
V_y4.jpg
成程,因数分解したら結局面積を求める事に帰着されました.下から3行目の式と最終行の式は縦に積分するか横に積分するかの違いですね.
パップス-ギュルダンの定理の確認にも成っています.
面積だから例えば,2次関数なら (1/6)公式,sin のお山なら 2,半円なら積分せずに公式で求めれば良い訳です.


[オマケ]
範囲がガラリと変わります.zn = 1 の解は有名事実ですが,これを更に 1般化した,
 zn = α
を解いて見ましょう (α は任意の複素数).z を極形式で置いて長さと偏角を比較すると言う全く同じやり方で解けて,
z^n_alpha
複雑な応用問題で見通し良く速く議論する為に頭に入れて置くのも悪く無いのでは無いのでしょうか.

f (t) = k, t=±cosθ±sinθ の解の個数の処理法

例として,
 f(t) = k, t = cosθ-sinθ (0≤θ≤π) の解の個数を調べよ.
と言う問題を考えます.

z = f(t), z=k と定数分離して共有点を調べると言うのは良いでしょう.
問題は,t と θ が 1 : 1 対応では無いと言う事ですが,これは次の様にします.
t_Cos-Sin.jpg
t_Cos-Sin_Fig.jpg
この様に正射影して紐を作ります.そして次の様に横倒しにすれば,
ft_k.jpg
と成り,1目瞭然です.
(図の z = k の場合は 3個.後はこれを上下に動かして考える.)
(z = f(t) は適当に描いた.具体的な問題ではグラフの形状は勿論それに合わせる.)

市販の問題集では,t = √2sin{θ+(3π/4)} を横倒しにしたグラフを描いて調べている解答が殆どだろうとは思いますが,グラフを描くのに苦労する為に余りお薦め出来ません.解の個数だけを調べれば良いので有れば,正射影して紐を作り,それを横倒しにすると言うこの方法が簡明です.

cos の場合は横軸に,sin の場合は縦軸に正射影します.

原子物理の中心と成る単位変換

光電方程式ですが,次の形で覚えて下さい.単位は基本的には [J] です.
K_hv-W.jpg
足し算方式で記述した参考書も有りますが,結局グラフと対応させて考える為に足し算方式だと移項させると言う 1手間が掛かってしまいます.
K_hv-W_fig.jpg


光電効果の問題でそこそこのレベルの有る問題集なら載ってい無い方が珍しい東大の過去問 ('89 第2問) ですが,問題文の図2-2 は下の良く有るグラフ (a) の横軸の取り方を反対向きにし (b) ,第1象限だけを切り取った物です.電圧の取り方が逆なので.
K_hv-W_uts89P2.jpg
こうしてヴィジュアルに解説して有る本は無かったと思うのですが,気が付かれましたでしょうか? これが為に実際以上の難易度評価をされている気がします.


さて,本題の単位変換について話します.[J] と [eV], [J] と [MeV] の単位変換は大丈夫だろうと思います.
atom_unit1.jpg

入試で頻出なのは次の 2つです.
atom_unit2.jpg

ボーア理論の問題に置いては,
bohr1.jpg
と左右の単位が違っています.ですから λ について解いた時に,
bohr2.jpg
波線部を忘れ無い様にして下さい.

有名なアインシュタインの関係も E = mc2 と覚えているだけでは心許無い.入試で圧倒的に頻出なのは,[u] と [MeV] 間の変換なのでより実戦的には次の形にします.
mc2_1.jpg
mc2_2.jpg
良く問題文に,1 u ~ 9.31 x 102 MeV と言う但し書きが有るのはこの単位変換の為で有効数字の取り方でかなり値が変わって来ます (こうしたちょっとした事を確かめたい時に関数電卓は便利)
実戦的には,2 MeV ~ 0.002 u 相当とでも認識して置けば充分でしょう.

回転コイルによる交流の発生問題

rotCoil1.jpg
このテーマの問題は右手を使うにしろ左手を使うにしろ考え難いのですが,これも有る程度の流れや答えは決まっているのでこれから述べる事を頭に入れて置いた方が取っ付き易く成るだろうと思います.

まず起電力ですがファラデーの電磁誘導を用いた方が vBl よりも簡単です.符号付きで有れば向きもチェック出来てお得です.
rotCoil2.jpg

問題文の誘導で 1辺1辺にかかる電圧を調べ無ければ成らない時も先にファラデーの法則で求めてしまった方が良いと思います.簡単に出せますし答えも次の様に決まっているので検算にも成ります.
rotCoil3.jpg

消費電力ですが正統的に求めると,P = RI2 ですが,これも記憶用・検算用に
rotCoil4.jpg
と覚えます.

コイルにかかる電磁力の向きと大きさですが,
rotCoil5.jpg
と言う関係が有るので,I↑ と B↑ で張られる平面に垂直な方向に力を描けば確率 1/2 で合う事に成ります.そして回転する向きに逆行する向きにかかると言う事は左手や右手を使う事無く,向きは求めてしまう事が可能です.そうやって求めて右手・左手を補助的に使って検算する手も有ります.又,
 Fv = Frω = P
 (偶力のモーメント) x ω = P

と言う関係が成り立っている場合が多い (抵抗力や回路素子に色々な物がつながっている場合はこの限りでは無い) ので,力の大きさも直接求めるより間接的に求めた方が楽だったりします.むしろいつもチェックする癖を.

誘導起電力の発生に関係無い辺にかかる力を求める様に要求される場合が有ります.その場合は,
・sin(2ωt) と言う項が有る事が有る.
・場合分けし無ければ成らない事が有る.
・向きはコイル全体を考えて dΦ/dt の正負に逆行する向き
事に気を付けると良いでしょう.

回路素子にコイルやキャパシター (コンデンサー) がつながっている場合は,消費電力に,
 sin(2ωt)
と言う項が有る為に時間平均で 0 と成ります.



さて少しテーマを変えます.とかく交流と言うと対応関係: Q<->x, I<->v, L<->m, C<->(1/k) が重要だと言われちゃったりしていますが,棒電池にキャパシターやコイルがつながっている場合は対応関係が全く変わります
rotCoil6.jpg

キャパシターが無くてコイルのみが関与している場合,
rotCoil7.jpg

音速公式の 0.6 t の 0.6

次の 3式は,導出なり式を与えてそれを使って考えさせるなりの違いは有りますが,中堅大の入試でも意外な程出題されているので記憶する必要が有るかと思います.

u: 音速とします.

06t_1.jpg

この式の比例定数ですが,
06t_2.jpg
ですので,u = 331.5 + 0.6t の 0.6 の正体掴めたりと言った所ですね.

※ ΔT は問題によって絶対温度の場合とセルシウス温度の場合と両方有る様です.
※ 3式目の Δu = ・・・ の式は,条件を変えた時に辺々引くと言う式変形が有効な事が多いから掲載した迄です.

定積変化でのP-Vグラフの面積 (直線変化や断熱も)

加筆したので上に挙げて置きます.

以下では単原子分子理想気体とします.


もしあなたが P-Vグラフの面積を定圧変化での仕事を求める時にしか利用してい無いのならそれは勿体無さ過ぎます.定変化でのP-Vグラフの面積は内部エネルギー変化や吸収・放出した熱量を求める事にも使う事が出来るのです.

V_PV.jpg


定圧変化の時でも仕事だけで無く,内部エネルギー変化や吸収・放出した熱量も求められます.
P_PV.jpg


面積は,前後の PV の積の差で求められます.

P-Vグラフが与えられていて答えのみで良いので有れば面積を利用するのが簡単です.

後,これは面積利用に限った話では無いのですが,Cv や Cp を用いなければ成らない場合,(Cv/R)・nRT や (Cp/R)・nRT で立式した方が,nRT -> PV への変換が容易な感じがします.


ばねやピストンの上の流体が関与する場合 P-Vグラフが直線と成りますが,この場合も,
3_2PV-PVfig.jpg
いずれの場合も,
3_2PV-PV.jpg

nRT -> PV の変換が滞り無く出来れば大差無いとは思うのですが,やはり図で関連付けて置くと右脳記憶なのでよりスムーズに出来る様な気がします.状態方程式だと P, T の両方が未知数だとそれだけでは求まら無いのに対し,P が未知数の場合はピストンの釣り合いで求まる事が多いですし.何よりも今どういう状態なのかの現在地が掴めます.


断熱変化についても,
adiabaticPV.jpg
正負は S1 > S2 を念頭に入れて置いて現象から判断します.この方が速いです.

0 = ΔU + Wout
ΔU = -Wout ( or Wout = -ΔU )
= nCvΔT
= CvnΔT
= (Cv/R)・nRΔT
= (Cv/R)・(P'V'-PV)
とするのは何行も式を書いて時間も掛かりますし東大の場合は解答用紙の罫線の関係で分数を書く事に成ると汚く成ります.単原子分子理想気体と言う設定の方が圧倒的に多いですしグラフから考えた方が何かと得です.


こう成って来ると熱力学の 1室のみの問題は易しいですね.P-Vグラフを要求されてい無くても P-Vグラフを描いてそこから仕事だけで無く内部エネルギー変化や吸収発熱量も求めて行けば良いと言う事に成ります.

双曲線軌道の運動

双曲線軌道の運動も答えが決まっており覚えていれば計算ミスに気付けるでしょう.

[1] 万有引力による物
hyperbolaP1.jpg
第1宇宙速度が表れている.rp はこれから出せる.
bv02 と GM どちらが分母分子か迷ったら,v02 = ・・・ の式で次元チェック.

導出は,
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この4式を連立.エネルギー保存で間違え易い.最初の2式連立で vp を消去し根の公式を利用.

[2] クーロン力による物
hyperbolaP3.jpg

面積速度1定とエネルギー保存より次が導出される.
hyperbola4_1.jpg
双曲線の定義より,Δr = (1定).

楕円軌道と離心率とケプラーの第3法則

楕円軌道については遠地点・近地点を比較する問題の出題頻度が高いのですが,もう1つ美しい関係が有りますのでここで紹介します.

ellipse1.jpg
上図の △OBM と下図の △O'B'M' は相似で相似比は,a : 1.
ellipse2.jpg

離心率 ε については,
 ε = sinθ
と言う関係が有ります.離心率は高校数学でも扱うのに図形的な意味にまで言及している本は少ない感じがします.

vA, vB, vC については,
ellipse3.jpg
と言う関係が有ります.特に vB は第1宇宙速度ですね.
導出は面積速度1定則とエネルギー保存を連立して出します.

以上を踏まえて,改めてケプラーの第3法則を確認する事が出来ます.
ellipse4.jpg

真・鉛直面内の円運動のまとめ

鉛直面内の円運動 (非等速円運動) について大昔にまとめた物や最近言及した事について情報が散在し過ぎているので今まで記述してい無い事も含めて又改めてまとめ直して見ました.基本的に本記事だけで鉛直面内の円運動の知識で引けを取る事は無いでしょう.

基本
yCircle.jpg
N も記憶事項です.

θ が鋭角内に留まる時
yCircleAcute.jpg

1周出来る場合
yCircle2r.jpg
※ この図の N は最下点での値です.

ギリギリ 1周させるには,
2_5rjpg.jpg
から摩擦の無い斜面の高さ (5/2)r の点で静かに離す.

棒の場合でギリギリ 1周出来る条件に関して摩擦の無い斜面の高さや最下点での速さは,
2r.jpg
より考える.

θ が鈍角で円軌道から外れる場合
yCircleObtuse.jpg

基本
新たに角度 α を導入しましょう.
yCircleAlpha.jpg
最高点の座標には図形的な意味が有ります.これは簡単に記憶出来るでしょう.

以下の 2例の最高点の座標は(今の時点では記憶していなくて) これに代入して求めています(α を求めるのが主なので訊かれる事は少ない).

円軌道から外れた後中心を通る
yCircle35.jpg
35° は図の角度としました.
35.jpg
所で cos35° は1辺が 1 の正4面体の高さと成っています.何か図形的な意味が有るのかも知れません.余談ですが正4面体の高さと言うのは中学受験用の参考書に記憶事項として載っておりましたので小学生レベルです.中学受験をしてい無い or 受験せずともそれに準じる勉強をしてい無い方はその時点で差が付けられてしまっている訳です.

円軌道から外れた後最下点に落下する
30.jpg


たった 5° の違いで中心を通るか最下点に落ちるかの運命が決まってしまうのです.

胴上げ問題の垂直抗力

胴上げ問題の垂直抗力 N ですが,これも実は答えが決まっています.真面目に計算しようとすると分数の文字式の通分計算を実行する事に成り結構大変で計算ミスも多発していた箇所で有ろうとは思われますがこれからはそんな惨めな生活とはおさらばです.

ポイント: ω で置き換える.

[1] ヨコ型
doage1.jpg
doage2.jpg

[2] タテ型
doage3.jpg
doage4.jpg

いずれの場合もグラフは同じ.
doage5.jpg

計算自体は真面目にやるしか無く途中計算は省いていますが物理の試験の解答では途中計算は要らないので答えが決まっているなら立式後はさっさと書いてしまいましょう.

垂直抗力では無く,糸を介して 2物体がつながっている時も ω と置き換えて見ましょう.

トリペプチドの構造決定

α-アミノ酸の側鎖以外の共通部分は,C2H4NO2
ジペプチドの側鎖以外の共通部分は,C4H6N2O3
トリペプチドの側鎖以外の共通部分は,C6H8N3O4

ex) 分子式 C16H21N3O6 は天然に含まれる α-アミノ酸のみで構成されたトリペプチドである.
C16H21N3O7 - C6H8N3O4 = C10H13O3.
C10H13 = C7H7 + C3H6.
より 1つは芳香族アミノ酸が含まれていそう.
O3 は,-OH と -COOH に振り分ければ良さそう.
アスパラギン酸なら,残る 1つは C 1個,グルタミン酸なら,残る 1つはグリシンに確定.
-OH はチロシンかセリンの可能性.
以上に鑑みると,
FDS, YDA, YEG.
構造異性体は,12 x 3 = 36種類.

何と分子式の情報だけでこれだけ絞れてしまうのです.芳香族エステル同様,加水分解するけれど分子式で H2O を足さないこの方法が如何に速く解ける事か.

フェニルアラニンかチロシンかの区別ですが,O の数に注目します.他の C, H, N の数はバッサリ無視です.

無水物の結晶の析出の別解

無水物の結晶の析出量 [g] を求める時には別解が有ります.


[1] 1定温度で飽和溶液から水を w [g] だけ蒸発させた時の結晶の析出量 x [g] を求める.
tobasu.jpg


[2] 飽和溶液を冷やした時の結晶の析出量 x [g] を求める.
hiyasu.jpg
※ 溶液 100 g じゃなくても O.K. です.
※ Sh は高温での (冷やす前の) 溶解度で有る事に注意.


「水を蒸発させてから冷やす」のと「冷やしてから水を蒸発させる」のとでは析出量が変わって来ます.ですから順序交換は出来ません,無水物で有ろうと水和物で有ろうと.何だか市販の問題集の解答で順序交換して答えが間違っちゃってくれている物も有りますw
どうやら無水物の場合は順序交換可能な様です.適当な問題で試して答えが合わなかったから早合点してしまった模様.途中のケタ数の取り方が問題だった訳で分数のまま計算したら合いました.市販の問題集の間違いは温度によって水和物か無水物かが変わる物質で結晶型が変わる時に順序交換をするのは明らかに間違っています.そして他の簡単な無水物で試して答えが合わなかったので無水物も水和物もダメと言う記述をしてしまいました.
最終状態が同じで有れば合計の析出量は変わら無いと言う意味です.順序が異なれば個々の操作による析出量は変わって来ます.

全析出量を考えるので有れば順に考えて行けば良いのですが,全析出量が分かっていて途中の過程での析出量を求めよと言う問題も有ります.実際に自分が実験をする時には慎重に析出した量を順に求めて行くしか無いと思うのですが・・・.言わばパズル的な問題で学問的な価値が低く入試問題の作問者と言うのはつくづく意地悪だなあと思います.

速度論・平衡での重要知識

1次反応では半減期と言わず最初の濃度の 1/n になる時間を覚えて置きましょう.
t1_n_1.jpg


2次反応は新演習に載っていた慶應の問題を答え毎,丸暗記すべきです.医歯薬系に進む人は pharmacokinetics (薬物動態学) で結局覚えさせられる事になるので今の内に覚えて置いて損は無いでしょう.それと 1つ次も公式化して置きます.
t1_n_2.jpg

それと 2次反応では,
 (100 % から 80 % に成る時間) x4 = (100 % から 50 % に成る時間)
 (100 % から 50 % に成る時間) x4 = (100 % から 20 % に成る時間)
が成立します.簡単な数値な所が美しいせいか良く出て来ます.


アレニウスの式ですが,入試化学として出題される物は,
arrhenius.jpg
この式を利用する物が多いのでこれを記憶するか暗算でやる事で素速く処理します.


Kc <-> Kp の変換公式は間違え易いので覚えるとしたら次の形で覚えます.
KcKp.jpg
L = Left で左辺, R = Right で右辺です.
添え字と指数を CL = PR としたのは訳が有ります.
 "クリアランスセールだから PR する"
これで間違える事は無いでしょう.
とは言っても公式を使うのが楽か定義通りに計算した方が楽かはいつも自問自答しなければ成りません.
p_cRT.jpg
を代入する事でいつでも公式自体は導出可能ですが,重要なポイントとして,特に 2つ目の式: c = p/(RT) の右辺を見ただけで次元が濃度だと判断出来る事,そして容器の体積が分からなくても自分でこの濃度表記の式を使って平衡定数を求める事が可能で有りそれが自力で出来る事ですね.


N2O4 の解離平衡で解離度を求める有名公式ですが,
N2O4_1.jpg
特に,
N2O4_2.jpg
違う解離平衡,例えばエタンの解離平衡ではこの公式は使え無い事に注意して下さい.


オストワルト法の最初の反応で,気体の混合比が 1 : 3 でアンモニアが 50 % 生成と言うのも良く見掛ける設定ですね.


電離平衡の解法は覚えたら即点に成るみたいな物が多いと言うか解法が公式の様な物です.電離平衡はともかく気体の平衡もパターン性が強くどちらかと言うと蒸気圧やヘンリーの方がややこしい.蒸気圧は理想気体と実在気体に分けて理想気体には常に状態方程式,実在気体でも気体部分には状態方程式が成り立つ事と液体部分は間接的にしか求まらない事.ヘンリーはどの状態で測ったのかと言う事と,要は圧力補正と (溶液の) 体積補正をするだけなのと,その温度の下では溶ける体積1定と言うのがポイント.ヘンリーは新演習でもたった数問しか無いのでさっさとマスターしてしまいましょう.

化学の新演習の別解 [理論編]

今回から『化学の新演習』の中から幾つかの問題をピックアップして別解等を挙げて行こうと思います.別解は勿論本には書かれてい無い事です.まあ周回していたら思い付くかも知れませんが.敢えて下手な解き方をしているのは自分で気付く事で実力を付けさせる,そう言う狙いが有るのかも知れません (程度問題で余りにも不親切な解説の問題集は好ましく無いと個人的には思う).

理論化学全166題中,今回取り上げるのは以下の 8題.
12 <体心立方格子と面心立方格子> (広島工大)
29 <化学反応の量的関係> (北大)
38 <CO2 の状態図と等温線> (東京医歯大)
64 <ヘンリーの法則> (早大)
69 <溶液の蒸気圧降下> (福岡大)
71 <分配平衡> (東京女大)
113 <固体を含む平衡> (東大)
114 <ヨウ素の分配平衡> (東大)

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『化学の新演習』 のすゝめ

1気圧, 1モル, 27 ℃ (= 300K) での気体の体積には次の 2通りの計算方法が有ります.
V_27C.jpg
所がこの2つの計算結果は微妙に違っています.

この様に化学は計算の仕方によって答えが変わると言う特殊な科目です.化学の学習を進めて行くに当たっては個人的には解法をしっかりマスターする事を重視すべきだと思います.atm 時代の問題を Pa に無理矢理直した問題集も有り,又どうやっても数値が合わない問題が問題集のみ成らず改題の無い入試問題の解答速報にも有りますから.又自分で思い付いた別解が正しいかどうかを確認する為にも日常学習では関数電卓は必須です.試験で間違える計算問題の原因は計算力の無さと言うより解法が中々思い付かず立式自体にも不安を残した物で解法が直ぐ思い付き自信を持って解答出来た物が間違っていたと言うのは少ない物です.

さて,『理系大学受験 化学の新演習―化学基礎収録』 (卜部 吉庸 (著)) と言う問題集が有ります.現状ではベストな問題集だと言わざるを得ません.網羅性や全てをマスター出来た後の達成感は半端無い.その莫大な知識量はきっと役に立ってくれる事でしょう.最初の方を少しやるだけでもダイヤモンド型結晶格子の限界半径比 (<- 注: 体心・面心では無い) 等も即答です.

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自然放射性崩壊 (物理)

これらも公式化して置きましょう.問題があっと言う間に解ける筈です.

lamdaNT.jpg

※ 下3つの式は放射平衡時に成り立つ.

その他の検算用の答え (物理)

色々追加・修正して,最終更新日: 2016.7.10

今回は今まで扱い忘れていた事を適当にまとめました.死に物狂いで覚えるべきか学習して行く内に知らず知らずの内に覚えてしまっているかはあなた次第.分野も色々混在しています.記事を分けるべきだったか 1つの記事にすべきだったかもまだ ? 状態.まあ蛇足かも知れません.


・摩擦の有る斜面を昇降する時の加速度の大きさ
 |g(sinθ±μcosθ)|
||, 複合は設定や現象を考えて判断.
応用問題の解答ではいきなり書かれている事が有るので,直ぐに出せる様にして置かないと速い議論に付いて行けないのでしょう.
具体的な設定の問題ではこれらの 2項が 1つの項にまとめられる場合が非常に多い感じがします.それで計算ミスしてい無いかのチェックに成る?


・スイッチを a につないで十分時間後,b につなぎ十分時間が経った.その時の C3 に蓄えられた電気量 Q3.
Q3_CCC1.jpg
Q3_CCC2.jpg


・キャパシター (コンデンサー) への導体板の挿入
Catx.jpg
昔まとめた気がしましたが勿論覚えていません.(<- だからお前は駄目なんだ)
分子の atx と言うのが導体板の挿入部分の体積と言う事に着目すれば問題文の使用して良い文字の指定にもよりますがこれ位なら覚えられそうです.


・電流 I 関連
I_N.jpg
意味を考えれば出せるとか豪語して軽い扱いに成っている本が多いせいかパッと出て来ない人の方が多いだろうとは思います.これもむしろ公式扱いして直ぐ出て来る様にして置きましょう.(最初更新した時は間違えていたので尚更,自戒)


・単振動の任意の位置での速さ
Tanvnini.jpg
稀にこの形で答えさせる問題も有ります.何と言っても任意の位置での速さが 1発で出て来るのが大きい (原点中心に限る).
k = mω2 が背景に有ります.この変換も自由自在に出来た方が良いでしょう.


・m を静かに離し,M と弾性衝突後,再び上昇出来る最高点の高さ h'.
M-m_M+m^2h
※ 弾性衝突の場合,m と M が逆でも O.K.


・最下点での速さが v0 で最高点から飛び出した時の水平方向への移動距離.
2rsqrt---.jpg
※ 最高点に到達出来るギリギリの速さ v0 = √(5gr) の時,2r と成る.
(過去記事: http://denofhardworking.blog.fc2.com/blog-entry-479.html 参照)
ちなみに途中で離れる時の速さは,√(grsinα) (α は中心を通る水平線から測った角度)

・無限回衝突 (V0 = 0 の時)
同質量:
vnVn2.jpg
これは,
vnVn1_1.jpg
で m = M とした物.


・全反射の頻出問題
zenhanshaR.jpg
気を付けるべきは,見掛けの深さ d' は近似を使って求めているいるのに対し,円板の半径 r を求める時は近似禁止.問題によっては円板では無く正方形の板としている物も有りますが同じ事.円板の直径を求めよと成っている問題も有るので要注意です.

光ファイバの問題でのグラフ利用

今回の記事は昨今の記事に比べると易しいので得る物が余り無いかも知れません.



光ファイバの問題で臨界角を θ0 とすると,
fiber1.jpg

定数分離してグラフを描くと,
fiber2.jpg
fiber3.jpg

任意の θ で全反射する条件は,グラフより,
fiber4.jpg



グラフを描いて説明すると言うのは余り見られない説明方法かも知れませんが,今回の最大の教訓は,思い付く事は何でも試して見る事で発想力を鍛えようと言う事でした.(今回の例で言えば他人が描かない様なグラフを描いて見る.)

芳香族エステルの構造決定の練習

先回の芳香族エステルの構造決定法の練習問題.



ア. C8H8O2
C8H8O2 - C7H6O2 = CH2.
エステル or カルボン酸だとすると,-COO- の挿入を考えて下図.

C8H8O2.jpg



イ. C14H12O2
C14H12O2 - C13H10O2 = CH2.
エステルで水解後も両生成物にベンゼン環が有る物だとすると,-CH2- の挿入を考えて下図.
C14H12O2.jpg
※ ベンゼン環の中央から出た -H は o-, m-, p- を表す.



C の数,H の数から芳香族エステルだと予想出来るなら不飽和度も数えずに C, H の数から考えて C7H6O2, C13H10O2, C20H14O4 から近い物を引きます.

やはり加水分解で一々分子式を考えて H2O を足したりする解法に比べると遥かにスムーズに解ける事が分かるでしょう.

芳香族エステルの超速構造決定法

まず予備知識として,
C6H6 はベンゼン.そこから -CH2-単位を足して行った,
C7H8 (トルエン)
C8H10 (エチルベンゼンか (o-,m-,p-)キシレン)
C9H12
(クメン,プロピルベンゼン,(o-,m-,p-)エチルメチルベンゼン,トリメチルベンゼン(隣接・非対称・対称))
(C10H14)
(C11H16)
(C12H18)
・・・
は見ただけでベンゼン環以外は単結合で有ると判断出来る様にして下さい.特に C9 までは頻出です.

[1] (ベンゼン環)x1 の物 (US = 5 の物)
C7H6O2 は安息香酸かギ酸フェニル.それを構造決定問題で考えている大元の分子の分子式から引く.残った分子式は少数の O原子, -CH2-単位なのでそれらを挿入して行くと考える.

[2] (ベンゼン環)x2 の物 (US = 9 の物)
(C6H5-)x2 + COO = C13H10O2 .それを構造決定問題で考えている大元の分子の分子式から引く.残った分子式は少数の O原子, -CH2-単位なのでそれらを挿入して行くと考える.

[3] (ベンゼン環)x3 の物 (US = 14 の物)
(C6H5-) + COO + (-C6H4-) + COO + (-C6H5) = C20H14O4 .それを構造決定問題で考えている大元の分子の分子式から引く.残った分子式は少数の O原子, -CH2-単位なのでそれらを挿入して行くと考える.

どの場合も -CH2-単位が幾つ有るか数えるので大元の分子のベンゼン環,エステル結合部分以外が不飽和か飽和かも判断出来る.不飽和度USの計算は不要と成ります.加水分解時や挿入する時は H原子の数は無視し,C原子の数に注目するのが速く処理するコツです.

ですから例えば,CaHbOc + H2O -> CkHlOm + D と加水分解した時に D の分子式は,CaHbOc + H2O - CkHlOm = ・・・ としているのがよく見掛ける解説ですが,そんな事をする必要は有りません.時間が掛かる上に間違える原因です.

水解後は,C8H8O (アセトフェノン) とそれを還元した2級アルコール C8H10O (いずれもヨードホルム反応陽性),C8H6O4 (フタル酸,M=166) とそれを脱水した C8H4O3 (無水フタル酸,M=148) ,あと環状ラクトンが決め手となる場合が多い.

芳香族アミドの場合も少し修正すればこの考え方が使えます.
ベンゼン環1個の物は,C7H7NO を引く.(US=5)
ベンゼン環2個の物は,C13H11NO を引く.(US=9)

[追記] 練習問題を作りました.
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